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うのができたりするため、ウエーブの進行方向を任意に変化させることは容易ではない。
そこで、本研究では、前方ウェーブ歩容においてデューティ比と側行角を可変にする一般化ウェーブ歩容(generalized wave gait)と呼ぶ概念を提唱する8)。
本研究では歩容を表記する手段として支持脚の組み合わせの時間変化を示す図が有効であると考え、fig-4.を導入している。歩行中の支持脚の組み合わせは、βが一定ならば図中を水平に、変化させれば斜めに進行する。この図から、例えば1/2<β<2/3では、3脚支持と4脚支持が交互に現れることがわかる。

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Fig-4.Supporting leg chart of generalized wave gait( α=π/6,0<β<1)

以上のような一般化ウェーブ歩容の例をFig-5.に示す。

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Fig-5.Execution of a generalized wave gait

これは胴体の向きを変えずに進行方向を変化させ、円軌道を描いたものであるデューティ比は2/3から1/2に変化して移動速度を増している。原点付近の点群が一定時間ごとの実際のロボットの重心軌跡であり、それぞれの位置でロボットの形(原寸)を周囲に移動して示している。●が支持脚、○が遊脚である。デューティ比の減少に伴い平均支持脚数が減り、進行方向の変化に伴い遊脚の組み合わせが変わることが分かる。
4−2.脚連動計画
本節では、歩行ロボットの全方向的運動に対応した、連続的な足先軌道の生成法について述べる。脚iについて、遊脚期間を正規化した遊脚相変数(transfer phase variable)φ Tiを導入する5)。0で足先の地面からの離脱を、1で着地を表す。
足先軌道は、この遊脚相変数の関数としてFig-6.に示すように軌道テンプレートと呼ぶ正規化した水平成分と鉛直成分の足先速度ξH(φTi)、ξV(φTi)で設定する。歩行ロボットの足先軌道に関しては、機構への影響を考慮して着地寸前では対地速度を減速して低衝撃とすることや、地面からの離脱、着地に際してスリップを防ぐために鉛直な軌道を描くことなどが要求される4.6)。Fig-6.はその条件を満たす軌道計画の一例である。図中φ topは、足先の高さが最大御上げ高さに達するときの遊脚相変数である。
遊脚軌道の設計には、着地点の位置の情報が必要である。着地点は次のように求められる。歩行中の足先の到達可能範囲は胴体の移動とともに移動するので、胴体の移動速度が大きいほど歩幅を大きくすることができる。脚の上下にかかる時間を考慮すると胴体の移動遠度が大きいほど歩幅を大きくとることが有利であると考えられるので、着地点は足先の到達可能範囲内でできるだけ大きくとるように設定する。すなわち、遊脚相変数が1となる時点での到達可能範囲の端と現時点での到達可能範囲の中心から胴体の運動方向に伸ばした直線との交点を予測着地点とする。

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Fig-6.Trajectory template

 

 

 

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